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КАТЮША
カチューシャ

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 ここでは、恐らく日本で一番有名であろうロシア民謡「カチューシャ」の紹介をします。「カチューシャ」は、実は第二次大戦の頃作られた歌らしく、「民謡」というよりも「歌謡」と言った方が正確だと思われます。題名の「カチューシャ」とは、一般的な女性名「エカチェリーナ」の愛称です。

 ここではまず、よく知られている日本語版を紹介します。

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カチューシャ
訳詞者 関 鑑子・丘灯至夫
  
りんごの花ほころび
川面(かわも)にかすみたち
君なき里にも
春はしのびよりぬ
 
岸辺に立ちてうたう
カチューシャの歌
春風やさしく吹き
夢が湧くみ空よ

カチューシャの歌声
はるかに丘を越え
今なお君をたずねて
やさしその歌声
 
りんごの花ほころび
川面にかすみたち
君なき里にも
春はしのびよりぬ

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 次に、ロシア語版とその日本語訳(Kaeul P. Aki翻訳。直訳気味のつもり。正確に訳せたかどうかは不安)を紹介します。

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КАТЮША

Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой.
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег на крутой.

Выходила, песню заводила
Про степного сизого орла,
Про того, которого любила,
Про того чьи письма берегла.

Ой ты, песня, песенка девичья,
Ты лети за ясным солнцем вслед
И бойцу на дальнем пограничье
От Катюши передай привет.

Пусть он вспомнит девушку простую,
Пусть услышит, как она поет,
Пусть он землю бережет родную,
А любовь Катюша сбережет.

Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой.
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег на крутой.
カチューシャ

リンゴとナシが花咲いていた
霧が川面を漂いだした
カチューシャは岸へと出かけていた
高くけわしい岸へと

歌いながら出かけていた
ステップの青灰色の鷲の歌を
愛していた人の歌を
手紙を大切にしまっておいていた人の歌を

ああ、歌よ、娘の歌よ
輝く太陽の後を飛べ
そして遠い国境地帯の兵士に
カチューシャからよろしく伝えよ

純朴な娘を思い出させよ
彼女が歌っているように聞こえさせよ
故郷の大地を守らせよ
カチューシャは愛を守るだろう

リンゴとナシが花咲いていた
霧が川面を漂いだした
カチューシャは岸へと出かけていた
高くけわしい岸へと

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 この歌は第二次大戦中につくられたということもあり、元のロシア語の歌詞は、戦争に行った人への歌になっていることが分かります。日本語版も、分かりにくくはありますが、やはり戦争に関するもので、「君なき里にも〜」というのは、君が戦争に行ってしまってここ(里)にはいない、という意味です。ただ、ロシア語版が、日本語版での「君」に相当する人物がまだ生きているようなのに対し、日本語版ではもう亡き人になっているように思えます。

 この歌は、第二次大戦中に戦場のソ連兵の間で流行したらしく、タマーラでもエレーナでもなく「カチューシャ」だというのも、当時ソ連軍で使用されていた「カチューシャ砲」と関係あるようです。兵士の間で歌われていた歌なら、日本語版のような亡き人を懐かしむ感じのある歌だと、さすがに縁起が悪いですね(^^;

 この歌が日本で親しまれているのは、やはり日本語版の切ない雰囲気が人々の心をとらえているのだと思います。また、ロシア語版も、勇ましさのようなものはあまりなく、死と隣り合わせの戦場においては、本当に気がかりなのは、いかに敵を蹴散らすかとかじゃなくって、遠い故郷でみんな元気にしてるのかな、ってことなのかな、という気がします。

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