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Думка
報われぬ日々(ドゥームカ)

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 「報われぬ日々」は、ウクライナの国民的詩人タラス・シェフチェンコ(1814〜1861)の詩「Думка(ドゥームカ)」を歌詞としている歌です。この詩は、少女時代を誰かに台無しにされ、もはや年齢的にも大人になろうとしている女性の気持ちを詩にしたもののようですが、前半二聯については、理由や境遇はともかくとしても、少年少女時代からおさらばしようとしている人の少なからずが、この詩にあるような気持ちになっていたのでは、と思います。ちなみに私は、別に誰かに裏切られたわけでもないのに、気分的にかなりこの詩っぽい感じでした^^;
 というわけで、この歌は、詩も曲のメロディーも、特に気に入っている歌の一つで、第一聯の三行目にある「若い年月は何のために?(Нащо літа молодії?)」という言葉は、20歳になった頃の年賀状の言葉にも使ったことがあります(^^; 「こういう詩が自分でも書ければ」とかなり強く思ってたりしてます(^^;
 以下に、「報われぬ日々(ドゥームカ)」の、ウクライナ語の歌詞(キリル文字表記)、日本語訳(Kaeul P. Aki訳。かなり不正確かも^^;)、歌詞のローマ字表記、カタカナ表記を載せます。なお、ナターシャ・グジーさんは詩の一部を歌っていません(ナターシャさんが歌ってないだけなのか、元の歌でもそうなのかは不明)が、以下の歌詞中では、ナターシャさんの歌っていない部分は斜体で示しました。また、ウクライナ語の文字・単語の、ロシア語を勉強している人向けの簡単な紹介を、歌詞の後に載せています。

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Нащо мені чорні брови,
Нащо карі очі,
Нащо літа молодії,
Веселі дівочі?
Літа мої молодії
Марно пропадають,
Очі плачуть, чорні брови
Од вітру линяють.

Серце в'яне, нудить світом,
Як пташка без волі.
Нащо ж мені краса моя,
Коли нема долі?
Тяжко мені сиротою
На сім світі жити;
Свої люде -- як чужії,
Ні з ким говорити;

Нема кому розпитати,
Чого плачуть очі;
Нема кому розказати,
Чого серце хоче,
Чого серце, як голубка,
День і ніч воркує;
Ніхто його не питає,
Не знає, не чує.
Чужі люди не спитають --
Та й нащо питати?
Нехай плаче сиротина,
Нехай літа тратить!


Плач же, серце, плачте, очі,
Поки не заснули.
Голосніше, жалібніше,
Щоб вітри почули,
Щоб понесли буйнесенькі
За синєє море
Чорнявому зрадливому
На лютеє горе!

私にとって黒い眉は何のために?
茶色の瞳は何のために?
若い年月は何のために?
楽しげな少女時代は?
私の若い年月は
無駄に消えてゆき
瞳は泣き、黒い眉は
風に色あせてゆく。

自由のない小鳥のように
心はしぼみ、世界に嫌気を覚える。
もし幸運がなければ
私にとって美しさは何のために?
孤児となってこの世界に
一人で生きてゆくことは難しい。
私の人々は見知らぬ人々のように
一緒に話をする人はいない。

尋ねるべき人はいない、
瞳が何を嘆いているかを。
話すべき人はいない、
心が何を望んでいるかを。
心が何を、鳩のように、
夜も昼もなき続けているのか。
誰もそれを尋ねない、
知らない、聞かない。
見知らぬ人々は誰も尋ねない--
そもそも何のために尋ねよう?
孤児は泣くがよい、
年月を浪費するがよい!


心よ泣け、瞳よ泣け、
眠りにつかないうちは。
もっと大声で、もっと悲しげに、
風が聞くように、
激しい風が
紺碧の海を越えて
黒髪の不誠実な人に
容赦ない不幸をもたらすように!

Nashcho men'i chorn'i brovy,
Nashcho kar'i och'i,
Nashcho l'ita molod'iyi,
Vesel'i d'ivoch'i?
L'ita moyi molod'iyi
Marno propadayut',
Och'i plachut', chorn'i brovy
Od v'itru lyn'ayut'.

Sertse vyane, nudyt' sv'itom,
Yak ptashka bez vol'i.
Nashcho zh men'i krasa moya,
Koly nema dol'i?
T'azhko men'i syrotoyu
Na s'im sv'it'i zhyty;
Svoyi l'ude -- yak chuzh'iyi,
N'i z kym hovoryty;

Nema komu rozpytaty,
Choho plachut' och'i;
Nema komu rozkazaty,
Choho sertse khoche,
Choho sertse, yak holubka,
Den' i n'ich vorkuye;
N'ikhto yoho ne nytaye,
Ne znaye, ne chuye.
Chuzh'i l'udy ne spytayut' --
Ta y nash'sh'o pytaty?
Nekhay plache syrotyna,
Nehkay l'ita tratyt'!


Plach zhe, sertse, plachte, och'i,
Poky ne zasnuly.
Holosn'ishe, zhal'ibn'ishe,
Shchob v'itry pochuly,
Shchob ponesly buynesen'k'i
Za cyn'eye more
Chorn'avomu zradlyvomu
Na l'uteye hore!

ナッショ メニー チョールニ ブロヴィー
ナッショ カーリ オーチ
ナッショ リター モロジーイ
ヴェセーリ ジヴォーチ
リター モイー モロジーイ
マールノ プロパダーユチ
オーチ プラーチュチ チョールニ ブロヴィー
オド ヴィートル リニャーユチ

セールツェ ヴヤーネ ヌードィチ スヴィートム
ヤク フターシュカ ベズ ヴォーリ
ナッショ ジュ メニー クラサー モヤー
コルィー ネマー ドーリ
チャーシュコ メニー スィロトーユ
ナ シーム スヴィーチ ジートィ
スヴォイー リューデ ヤク チュジーイ
ニ ス クィム ホヴォルィートィ

ネマー コムー ロスプィタータィ
チョホー プラーチュチ オーチ
ネマー コムー ロスカザートィ
チョホー セールツェ ホーチェ
チョホー セールツェ ヤク ホループカ
デーニ イ ニーチ ヴォルクーイェ
ニフトー ヨホー ネ プィターイェ
ネ ズナーイェ ネ チューイェ
チュジー リュードィ ネ スプィターユチ
タ イ ナッショ プィタートィ
ネハイ プラーチェ スィロトィーナ
ネハイ リター トラトィーチ


プラッシェ セールツェ プラーチテ オーチ
ポークィ ネ ザスヌールィ
ホロスニーシェ ジャリブニーシェ
ショプ ヴィートルィ ポチュールィ
ショプ ポネスルィー ブイネセンキ
ザ スィーニェイェ モーレ
チョルニャーヴォム ズラドルィーヴォム
ナ リューテイェ ホーレ

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ウクライナ語
文字
・г : フ(h)
・е : エ(e)
・є : イェ(ye)
・и : ウィ(y)
・і : イ(i)
・ї : ィイ(yi)

単語
・нащо : 「何故?」「何のため?」
・мені : 「私(я)」の与格
・-уть, -ють : 動詞の三人称複数形の語尾
・од(=від) : 「〜から」「〜によって」
・-е, -є, -ить : 動詞の三人称単数形の語尾
・коли : 「もし」
・-ти : 動詞の不定形の語尾
・нема : 「持っていない」(活用なし)
・та : 「そうしたら」
・нехай(=хай) : ロシア語の「пусть」(英語のlet)に相当
・поки : ロシア語の「пока」(英語のwhile)に相当
・-іше : 形容詞の比較級から派生した副詞の語尾
・щоб : 「〜するために」。ロシア語の「чтобы」に相当

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